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25/8/22
〔コラム〕裂肛(切れ痔)について
裂肛(れっこう)は、一般的に「切れ痔」と呼ばれ、肛門の出口付近の皮膚や粘膜に小さな傷ができる病気です。排便の際に強い痛みや出血を伴い、「トイレに行くのが怖い」と感じてしまう方も少なくありません。
主な原因は、硬い便や便秘による強い力み、逆に下痢による刺激などです。特に便秘が続くと、硬い便が肛門を通過する際に粘膜が裂けてしまい、さらにその痛みを避けようとして排便を我慢してしまう…という悪循環に陥ることもあります。女性は妊娠・出産やホルモンの影響で便秘になりやすく、切れ痔(裂肛)は女性に多いという特徴もあります。
症状としては、排便時の鋭い痛み、便やトイレットペーパーに付く鮮血が代表的です。多くは数分から数十分で痛みが治まりますが(急性裂肛)、傷が繰り返しできると慢性化し、肛門が硬く狭くなる「肛門狭窄」を起こすこともあります(慢性裂肛)。そうなると自然治癒は難しく、専門的な治療が必要になります。
予防には、まず便通を整えることが大切です。食物繊維や水分をしっかり摂り、規則正しい生活を心がけましょう。また、便意を我慢せず、スムーズな排便習慣をつけることが重要です。トイレで長時間いきむことも避けましょう。
治療は、初期であれば軟膏や坐薬による薬物治療で改善することが多いです。痛みを和らげ、肛門の血流を改善することで自然な治癒を促します。しかし、症状が長引く場合や再発を繰り返す場合には、専門医による日帰り手術で根本的に治すことも可能です。
「痔」や「肛門」は恥ずかしいと受診をためらう方も多いのですが、実は多くの方が経験する身近な病気です。痛みを我慢して生活の質を落とす必要はありません。是非、大腸肛門の専門医である当院を受診して下さい。少しでも「気になるな」と思った時点でご相談いただければ、多くは早期に改善し、できるだけ手術をせず再発予防の食事や排便習慣の様々なアドバイスも可能です。
肛門は非常にデリケートな場所です。おしりの健康は、日々の快適な生活に直結します。どうぞ当院までお気軽にご相談ください。
新宿目白 胃•大腸内視鏡と肛門
うえひら消化器クリニック 院長
